2009年5月号
【表 紙 説 明】
シミュレーションでブラックホールを作る.そのためには物質場の方程式とともに,数値的にアインシュタイン方程式を解くことが必要となる.言うは易し行うは難し.しかしながら,「数値相対論」と呼ばれるこの分野の発展により,ブラックホール形成過程をシミュレーションで調べることが近年可能となってきた.図は高速回転する大質量星の重力崩壊によってブラックホールとそれを取り巻く高密度のトーラスが形成される過程の,数値シミュレーション結果である.形成されたブラックホールの見かけの地平面が中心に白丸で示してある.カラーの等値面はx - z面における密度プロファイルの対数であり,矢印は物質の速度ベクトルである.なお,図は差し渡しおよそ250 kmの領域について表示してある.このような天体が,γ線バーストと呼ばれる宇宙最大規模の爆発現象の動力源となっているかもしれない.
(EUREKA「数値相対論で探る大質量星の重力崩壊」記事参照)
|