2017年7月号
【表紙図説明】
世界で最も長い天文観測の歴史をもつのは中国である.前近代の中国では「天人相関説」として,地上の人の営みと天変地異は密接に結びついたものと考えられてきた.そのため中国では古来,専門の天文スタッフが天上の異変を観察し続けた.
この画像は彼らが用いた天文占書『天元玉暦祥異賦』の黒子(黒点)とオーロラ(赤氣)の絵入りの解説文書である.このような天文観測の文化と技術は中国から東アジア中に伝播し,各地の天文観測に影響を及ぼした.
この写本が江戸の昌平坂学問所経由で現在国立公文書館に保管されている事実は,中国発祥の「天文学」が日本でも確実に根を下ろしていたことを示している.
望遠鏡による近代観測以前のこのような「伝統的」天文学が近代科学に教えることは少なくない.今回の特集でその一端をお伝えできれば幸いである.
【表紙デザイン】
日字崩(ひのじくずし),竹輪篠笹月(たけわにしのざさにつき),総陰星付七宝片喰(そうかげほしつきしっぽうにかたばみ)
|