書籍
- 「シリーズ 現代の天文学」
- 日本天文学会百年史と正誤表
日本天文学会創立100周年記念出版事業
「シリーズ 現代の天文学」
- 第1巻「人類の住む宇宙」[第2版] (2017.03)
- 第2巻「宇宙論I ―宇宙のはじまり」[第2版] (2012.06)
- 第3巻「宇宙論II ―宇宙の進化」 (2019.05)
- 第4巻「銀河I ―銀河と銀河団」[第2版] (2018.08)
- 第5巻「銀河II ―銀河系」[第2版] (2018.03)
- 第6巻「星間物質と星形成」 (2008.9)
- 第7巻「恒星」 (2009.7)
- 第8巻「ブラックホールと高エネルギー現象」 (2007.6)
- 第9巻「太陽系と惑星」 (2008.2)
- 第10巻「太陽」 (2018.12)
- 第11巻「天体物理学の基礎I」 (2009.12)
- 第12巻「天体物理学の基礎II」 (2008.5)
- 第13巻「天体の位置と運動」[第2版] (2017.07)
- 第14巻「シミュレーション天文学」 (2007.8)
- 第15巻「宇宙の観測I ―光・赤外天文学」[第2版] (2017.11)
- 第16巻「宇宙の観測II ―電波天文学」[第2版] (2020.07)
- 第17巻「宇宙の観測III ―高エネルギー天文学」 (2019.10)
シリーズ刊行によせて
近年めざましい勢いで発展している天文学は、 多くの人々の関心を集めています。 これは、観測技術の進歩によって、 人類の見ることが出来る宇宙が大きく広がったためです。 宇宙の果てに向かう努力は、ついに129億光年彼方の銀河にまでたどり着きました。 この銀河は、ビッグバンからわずか8億年後の姿を見せています。 2006年8月に、冥王星を惑星とは異なる天体に分類する「惑星の定義」 が国際天文学連合で採択されたのも、 太陽系の外縁部の様子が次第に明らかになったことによるものです。
このような時期に、 日本天文学会の創立100周年記念出版事業として、 天文学のすべての分野を網羅する教科書「シリーズ現代の天文学」 を刊行できることは大きな喜びです。
このシリーズでは、第一線の研究者が、 天文学の基礎を解説するとともに、 自らの体験を含めた最新の研究成果を語ります。 できれば意欲のある高校生にも読んでいた だきたいと考え、平易な文章で記述することを心がけました。 特にシリーズの導入となる第1巻は、天文学を、 宇宙ー地球ー人間という観点から俯瞰して、 世界の成り立ちとその中での人類の位置づけを明らかにすることを目指しています。 本編である2-17巻では、宇宙から太陽まで多岐にわたる天文学の観測対象、 研究に必要な基礎知識、天体現象のシミュレーションの基礎と応用、 およびさまざまな波長での観測技術が解説されています。
このシリーズは、「天文学の教科書を出して欲しい」 という趣旨で、篤志家から日本天文学会に寄せられた ご寄付によって可能となったものです。 このご厚意に厚く感謝申し上げるとともに、多くの方々がこのシリーズにより、 生き生きとした天文学の「現在」にふれ、 宇宙への夢を育んでいただくことを願っています。
2006年11月
岡村定矩
第1巻「人類の住む宇宙」
はじめに
第1巻「人類の住む宇宙」は、シリーズ全体への導入という位置づけを持っています。それに加えてこの巻は、それだけで独立した、ユニークな教科書としての役割を持てるように工夫しました。
第1章では、天文学という学問の内容と特徴から説きはじめ、古代の哲学的な宇宙観から、「銀河からなる膨張宇宙とビッグバンモデル」という現代の宇宙観に至るまでの人類の長い道のりを簡潔に概観します。最後に、天文学のめざましい発展を支える天文観測とその技術についても紹介します。
第2章は、「無からの宇宙創生」を説く量子重力理論の紹介から始まり、従来のビッグバンモデルの難題を解決するインフレーション理論の解説を経て、宇宙の起源と現在の姿を概観します。最後に、天文学の基本である天体の距離測定が述べられています。
第4章は、人類にとって母なる星である太陽と太陽系について、その現在の姿と誕生過程の理論的考察が述べられます。2006年8月に決まった「惑星の定義」も記述されています。さらにここでは、近年急速に進歩している太陽系外惑星探査の現状も紹介されています。
第5章は、地球惑星科学分野の研究者によって書かれています。ここでは、地球という水惑星の誕生と進化、気象現象、自然災害、そして温暖化をはじめとする人間活動が地球環境に与えるさまざまな影響など、社会生活と密接に関わる事柄が科学的な背景のもとで解説されます。たとえば、自然災害は人類にとっては災害ですが、見方を変えれば、地球という水惑星にとっては科学的必然性を持つ事象であることがよくわかります。この章で扱うテーマは、第2巻以降ではほとんど取り上げません。この章は、人類が自らの住む世界を理解する上で、天文学が重要な意義を持っていることを、この巻だけを読んでわかるようにしたいと考えて構成した章です。
第6章では、やはり社会生活と密着した時と暦の科学的基礎を解説しました。暦については、社会生活に役立ついろいろな事柄も紹介されています。最後に、日食と月食を含む天体の見え方に関しても簡単な解説を付けました。
このように、第1巻では、天文学を、宇宙ー地球ー人間という観点から俯瞰して、世界の成り立ちとその中での人類の位置づけを明らかにすることを目指し、文系・理系を問わずすべての人々にぜひ知っていただきたい事柄を、確かな科学的基礎の上に立って易しく解説しました。理系の教科書になじみの薄い方にも読みやすいように、脚注、コラム、図表を充実し、数式はできるだけコラムに含めて、本文を読みやすくするなどの工夫も行いました。
この巻が、天文学に関心を持つ人々ばかりでなく、たとえば大学の一般教養課程の教科書、科学館・プラネタリウム・博物館の解説の参考書などの形で活用され、広い範囲の方々の目に触れるようになれば大変嬉しく思います。
2006年11月
岡村定矩
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刊行記念シンポジウムは終了致しました。
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