ニュース

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. IAU100年記念のシンポジウムを共催します

IAU100年記念のシンポジウムを共催します

2019年05月15日トピックス

日 時:1日目 2019年5月27日(月)13:00 ~ 17:00
    2日目 2019年5月28日(火)10:00 ~ 17:00
場 所:国立科学博物館講堂(東京都台東区上野公園)
    ※5月27日(月・休館日)、28日(火・通常開館日)ともに通用口(北側・学士会館側)より入場してください。
主 催:日本学術会議 物理学委員会 天文学・宇宙物理学分科会/IAU分科会
共 催:日本天文学会、自然科学研究機構国立天文台、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所
後 援:日本天文協議会


<趣旨>
 国際天文学連合(IAU)は2019年に100周年を迎える。発祥のベルギーでは記念シンポジウムと記念出版が行われる他、日本に置かれた天文学普及活動オフィス(OAO)を中心に、世界中で"Astronomy for all"をキャッチフレーズとした多彩なイベントが計画されている。日本は、1919年のIAU創設メンバー7カ国のひとつである。日本の天文学は、戦後の急速な経済発展と共に大きな発展を遂げ、今や世界の天文学の一翼を担う存在となった。その日本にユニークなのは、サイエンスとしての天文学の充実だけでなく、人々と天文学の豊かな関係を築いてきたことにある。アマチュア天文家の目覚ましい活躍や、地域に根付いて活動する数多くのプラネタリウムや公開型天文台の存在は、それを象徴していると言えるだろう。
 さて、この100年間で人類活動は地球環境に影響を与えるほどに拡大し、地球の有限性が強く意識されるようになった。グローバル社会においては、国際連合が定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)が人類共通の課題と認識され、その目標達成のために私たちはなにができるのか、ということが盛んに議論されている。IAUが提唱する"Astronomy for Development"という理念もこのSDGsを強く意識しており、さまざまな取り組みが始まりつつある。そのような視点で改めて天文学と社会の関係を考える時、日本の果たせる役割は大きい。そこで今回、IAU創立100年を記念して、市民とともに歩んできた日本の天文学を振り返るとともに、将来の天文学のあり方を天文学に関わる広範な方々と共に考える場として、本シンポジウムを企画した。
 第一部(第1日目)では、日本の天文学の発展のユニークな歴史を振り返りながら、社会における天文学の役割や、日本の"Astronomy for all"が育ってきた経過とその評価について改めて考える。さらに、天文学がもたらし続ける新しい宇宙観と、社会への影響についても議論する。講演者は渡部潤一、山岡均(国立天文台)、井上毅(明石市立天文科学館)、須藤靖(東京大学)各氏ほかを予定している。
 第二部(第2日目)では、天文学の最先端研究が素粒子物理学、化学、地球惑星科学、生物学など分野を大きく超えて広がりつつあることを踏まえ、社会の中での天文学の推進や今後の大型装置の本格的なグローバル化といった研究そのもののあり方について、さまざまな立場から検討する。さらに第一部を受けて、天文学がなし得る今後の社会への貢献についても、教育や地域振興といった視点も含めて議論する。
  議論を実りあるものにするためには、天文学に携わる研究者や教育者だけでなく、天文学と人々をつなぐ活動に参加する市民の皆さんの参加が欠かせない。また、天文学やその教育普及活動を支える政治的・財政的なステークホルダー、メディアで先導的役割を果たしておられる方々にも広く参加いただき、社会の中での天文学、ひいては基礎科学全般について議論を広げられればと考えている。多くの関係者の参加を期待したい。

~プログラム~

第1日目  2019年5月27日(月)13:00 ~ 17:00
13:00 ~ 13:20     1.はじめに:開催趣旨と故・海部宣男氏への追悼  林左絵子(国立天文台)
13:20 ~ 15:00     2. 日本の天文学の発展:これまでの100年とこれから
   2-1. これまでの100年(地上)  岡村定矩(東京大学)
   2-2. これまでの100年(スペース)  井上一 (元JAXA/ISAS)
   2-3. ロードマップ(将来計画)  山崎典子(JAXA/ISAS)
   2-4. 生まれ続ける新たな宇宙像  須藤靖 (東京大学)
15:20 ~ 16:20     3. 市民の天文学
   3-1. 渡部潤一(国立天文台)
   3-2. 山岡均 (国立天文台)
16:20 ~ 16:50     4. 社会とつながる天文学: 公開天文台とプラネタリウムの大発展
   4-1. 井上毅(明石市立天文科学館)


第2日目  2019年5月28日(火)10:00 ~ 17:00
10:00 ~ 10:30     1. 分野を超えて広がる学問
   1-1. 村山斉(東京大学)
10:30 ~ 11:30     2. 科学で夢を育てる
   2-1. 縣秀彦 (国立天文台)
   2-2. 青野由利(毎日新聞社)
    午前中質疑応答・コメント[10分]
13:10 ~ 14:10     3. 天文学と地域社会とのつながり
   3-1. 大西浩次 (長野工業高等専門学校)
   3-2. 高橋真理子(星つむぎの村)
14:10 ~ 14:40     4. 学術コミュニティと大型望遠鏡・共同利用、国際連携
   4-1. 吉田道利(国立天文台)
14:40 ~ 15:25     5. 新時代の国際共同を見通す
   5-1. 小林秀行(国立天文台)
   5-2. 秦和弘 (国立天文台)EHT
    午後前半 質疑応答・コメント
15:50 ~ 16:50     6. 日本の長期的な学術政策と天文学の未来のために(全体討論)
   司会
    渡部潤一
   コメント
    船田元 (元文部省政務次官、自由民主党)
    新妻秀規(元文部科学大臣政務官、公明党)
    古賀之士(国民民主党・新緑風会)
16:50 ~ 17:00     7. まとめ:岡村定矩(東京大学)

(2019年5月15日)